夫婦不仲、その理由がわかった日。
私の両親は、私が幼い頃から「すごい人」って言われてた。
何が凄いと他人に思わせるのか分からないけれど、たぶんポリシーか何かを貫いてる姿が心を打つんじゃないかと思う。
そんな二人は歳を重ねるごとに離れて行き、今ではすっかり不仲である。
私が結婚したばかりの頃、父が言った言葉が印象的。
『お父さんとお母さんは、二人ともアクが強い。どちらも気が強くて、やりたい事がハッキリしてる。どちらも曲げない。だからぶつかり合うんだ。そうすると、こうなるんだよ(苦笑)。お前は良い旦那を選んだと思うよ?お前はお父さんに似て、頑固だからね(笑)。優しい旦那が必要だから。』
もうこの頃には、とびっきりの夫婦不仲だったから、娘の私は納得したし、お父さんも自覚があるんだね〜なんて心の中で笑っちゃったもんだ。
私が嫁に出て、
両親の間を取り持っていた妹が亡くなって、
予定外の早めの夫婦二人生活になった両親。
想定通りにぐちゃぐちゃだ。
私は、
父親と二人になれば母親の愚痴を聞き、
母親と二人になれば父親の愚痴を聞く。
私だって娘の目線でどちらにも愚痴くらいあるから一緒にぶちまける。
それこそ私は二人の遺伝子のおかげで、どちらにも似てるわけだから、愚痴りたくなる内容も似ている。
面白いもんだ。
生きている娘が私一人となり、
【私がなんとかしなくちゃ】
って思ってた。
妹が生きていた時からそうだったけど、急に責任感みたいなのがのしかかった。
どちらの気持ちもわかるから、頭を悩ませつつも難しすぎて後回しにしがちだった。
ところが先日。
私にとっては盲点であり、けれど至極当たり前のことに気がつく事ができた。
それが、
【二人は、それぞれに大事にしているものが違う】
という事だった。
娘から見ると、両親は同じ方向を見てる仲の良いものっていう先入観が強かったんだ。
でも、
父は体調最優先。
母は他人との関係性最優先。
二人とも好きな事は似ているし、同じものを美しいと思う、同じ歌が好きで盛り上がる。
だけど、日常的に一番大事にしているものが違った。
だから、お互い日常的にイラついてる。
体調最優先の父は、自分の体調を脅かすような食事や生活リズムにイライラするに留まらず、人並み以上に健康に無頓着な母の言動全てが気に入らない。
他人との関係性最優先の母は、他人のためには瞬時に動くが家庭のことは後回しにする。困ってる人や自分を気遣ってくれる人をまず大事にするが、「そんなの後回しにしろ」と吐き捨てる父の言動が理解できずにイライラする。
家族って、他人よりも盲目になるものなのかもしれない。
そして、家族だから!ってだけで何とかしようとしたり、求めたりしてしまうのかもしれない。
75歳過ぎと、65歳過ぎの、根っからの頑固者の二人。
私にはお手上げ(笑)。
二人とも立派な人生の先輩であり、経験も豊富だ。
私がとやかく言えることなんて無いじゃないか。
そして、二人はそれぞれに自分がやりたい事を見つけて日々奮闘しているんだから、それで良いじゃないか。
【娘の私がなんとかする問題ではない】
と分かったら、途端に気持ちが軽くなった。
私が、私のしたいように親と関わり、愚痴を言い合い、私がやりたい範囲・できる範囲で良いじゃないか。
両親が私にくれた愛への感謝を、娘なりに表していけば良い。